いつの日にか、俺の心には儚げな夢が出来た。
人には言えぬ
「君と結ばれたい」という叶わない夢。
『蜜のように微笑んで』
雑務をこなしながら、自分でも今日の自分はオカシイと感じていた最中。
自分の副官が、別件から解放された報告に来た。
「大佐、失礼ｓ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・中尉。それは、俺に今から失礼を働くという宣言か？それとも今の俺が失礼か?」
悪戯な微笑を見せつつそんなことを言う俺を、副官は一瞬の戸惑いの後、あくまでも職務的な装いでやり返す。
「いえ、後者と言いたい気持ちは山々ですが、そうではありません。
いつもの大佐と余りにも予想外な行動をなさっていたもので。心配しました。」
「・・・そうか、君はそうやって心配をするのだな。覚えておこう。」
「冗談です。にしても、本当にどうかなさったのですか。
いつもなら、書類の束など見えていないかのように後回しになさるのに。」
職務を連想させる口調のまま、副官は容赦なく俺にバズーカー砲を打ち込んでくる。
お互いに微笑みあったまま、お互いを蹴散らしにかかる。
だが、その酷い口ぶりの中に本気で心配をしている彼女の気遣いが
長年の付き合いからわかるから、俺は毒気を抜かれたようにゆったりと微笑んだ。
それを見たホークアイ中尉は、何かを言いかけていたのを止め、無言のまま苦笑した。
きっと、俺の普段ならありえない行動の理由を感づいてしまったのだろう。
俺の纏う空気から。
「ほどほどにお願いします。」
しばらくして投げかけられたいろんな意味が含められたその言葉は、俺を労わるもので、友人として俺を心配する思いだった。
「肝に銘じておくよ。」
憎らしげにワザと言い切るのは、俺の見栄。
それでも、それはお互いが良く知りえた間柄だから出来ることだった。
俺は、優しく微笑む彼女に感謝していた。
このもやもやと俺を駆り立てるイカガワシイ俺の感情を知りうる人物の一人であっても、友人でいてくれる彼女だから。
俺は、こうして時たま雑務に自分から没頭するのだ。
自分の理性を奮い立たせるために。
無駄とは知りつつも、再び書類に視線を落とした時。
部屋の扉が勢い良く開けられた。
誰かとは聞かなくても察しはつく。
けれど、知っているからこそ俺は顔を上げられないままだった。
俺は、視線を上げることなく、入口のほうへ声を投げかけた。
「誰だ。ノックもなしに何の用だね。」
「誰かくらい、分かってんだろ?いい加減その嫌味ったらしい性格を改善したらどう?」
声の主のよく知りうる仲だからこその会話も、彼のセリフでは心をエグル。
「・・・・？ああ、鋼の。一見して小さいから見えなかった。フッ、すまないね。」
何ともない風を装って、いつもの、鼻であざけ嗤うかの如くに悪態をつく。
たとえ君はそのままでいい、と思っているのが本心だとしても。
この思いを知られないために。
「！！誰が、チビの豆のミジンコだって〜！！！！！」
「兄さん、だれもそこまで言ってないよ。」
いつもの様に怒りを露にするエドを、アルフォンスが宥めすかせる。
「・・・・・エドワード・エルリックです。今日も無能っぷり心中お察ししますよ、大佐。」
大人しくなったと思った矢先、やはり仕返しを受けたようだ。
楽しくて仕方がないが、少し心が痛む。
けれど、そんな彼を愛しく感じる。
「お気遣いは結構。日夜身長との格闘を強いられるより、たまにの雨で休息していた方が・・・・」
言葉の途中で少しばかり彼のほうを見やると、彼はものすごい形相で弟の制止も無駄になりそうな状態。
微笑みをココロで噛み殺して、俺は不敵な笑みを頬に刻んで失笑をする。彼に解るように、ワザと。
案の定、彼は一段と噛み付かんばかりに、鎧の腕の中で暴れている。
俺は、一秒でも長く彼の姿を見ていたいという自分の欲望を制止し、ゆっくりと深呼吸をする。
それを隣の副官が察してか助け舟を出してくれた。
「アルフォンス君、自分の休憩の為に毎回毎回お兄さんをダシに使われて大変ね。
でも気にしないで。用があったんでしょ、どうぞそこに座って。」
いや、きっとこれは俺への助け舟・・・。そう信じたい。
多少引っ掛かりは感じるもの、彼女の案に今は乗っておくことにする。
「ということだそうだ、遊んでないで、鋼の、君も座ったらどうだね。」
なるべくふてぶてしい態度で、冷静に。
言い終わるや否や、彼が俺の顔をまじまじと見つめ返してきた。
何か自分の中でぐるぐると駆け巡り出したが気付かないフリをして、会話をつづける。
「鋼の、何なんだ。さっきから。私の顔に何か付いているか？それとも、惚れたか？」
自分で我ながら馬鹿だと思った。
いや、地雷を踏んだと確信した。
ただでさえ、無意識に口を飛び出す自分は、かなりの重傷だ。
普通に考えれば、きっとただの冗談。
けれど、俺の心には真っ黒に塗り固められたそれを事実として願う塊が存在する。
彼から背けた脳内で。
こんなシタタカナ自分が言ったセリフはきっと尋常じゃなく彼にとって負にしかならない。
そう、自覚はあるのに。
この想いが、止まらない。
しばらくしても反応が返ってこないことに、今更ながらに気付いた俺は、ゆっくりと顔を彼に向ける。
すると、彼は大きな瞳をまんまると見開いていた、のではなく。
俺の部屋に置かれたソファーにくつろいで座っていた。
茶を啜りながら。
・・・・いや、別に何も問題はないが。
俺は、気付かれなかった安心感より、人として、一人の男として、“対象外”と言われたかのようなその態度に心から消沈していた。
副官が、横で少し気の毒そうに俺を気遣う雰囲気が伝わってきた。
俺は、弱弱しく片手を上げ、心配は無用だと彼女に虚勢を張った。
大丈夫な訳がないことも承知の上だろうが、彼女は何も言わなかった。
このまま誰にも知られぬうちに、空気に溶けてしまいたい。
そんな、ぷち少女じみた感情を、俺は最後の書類にサインをすることで払拭した。
そんな自分の激しい悲しみと寂しさと切なさは、ゆっくりと差し出されたコーヒーごと飲み込んで。
副官に音なく″ありがとう″といえば、彼女はゆっくりと微笑んだ。
気持ちを切り替えて、先程より更に寛いだ来客のもとへ向かう。
彼らは、出された茶の二杯目を継がれているところだった。
ゆっくりとソファーに体を預けながら、正面から彼らを見据えた時。
見つめないようにと自分に言い聞かせた視界の端で、彼が顔を背けたのが見える。
俺が腰かけた同時に背けられたのは、顔だけじゃない気がして、胸の奥がやけにチクチクした。
溜息を飲み込んで、彼の様子を窺うように少し盗み見た彼の横顔は。
少し不貞腐れたような仏頂面で、ほのかに顔が赤い。
俺は、自分が何かしたのかと思い、心の中で今さっきのことを反芻し出す。
心当たりがあり過ぎて、どれだか特定できない。
不器用すぎる自分自身に、俺は苦笑を漏らした。
そして、彼に対して心に思った疑問を飲みかけた時。
今まで黙っていたアルフォンスが、彼に話かけた。
「兄さん、どうしたの？顔赤いよ？熱い？」
その声に、必要以上に驚きを示したエドは、これまた必要以上に動揺した声で答えた。
「べべ、別に、何でもない。」
少し上ずった声で言い終わると、チラッとこちらを窺うエド。
俺は、窺い見られたことに対して、疑問符を飛ばしていた。
横のアルフォンスは何故か彼には珍しく、不敵な笑みを漏らしている。そんな雰囲気を受ける。
そして、その後ろで、何故か副官が複雑な苦笑を漏らしていた。
さらに自分の中を、疑問符が行進し始めた。
訳が解らない俺は、目を瞬かせるだけ。
そんな時、一人動揺を隠し切れていないエドを尻目に、アルフォンスが此方に目配せをした。
いや、厳密には、いつものおっとりした雰囲気が嘘のように、鎧の纏っている空気が変わったとでもいうのか。
すると、アルフォンスはエドの耳元で何かを囁いたようだ。
鎧の中で小声が拡散し過ぎて聞き取れない。
ところがアルフォンスが耳打ちをした途端、エドは先程より顔を真っ赤にしてそのまま部屋を飛び出していった。
「・・・おい、鋼の！話は・・・・」
俺の戸惑いを含んだ呼び掛けにも、一瞬ビクリと反応しただけでそのまま走り去って行ってしまった。
その突然の行動に俺と副官は戸惑うばかり。
当の本人のアルフォンスはどこか有意義そうな空気を醸し出している。
その背中を見送りながら、俺は自分が何か気に障る事でもしたのかと本気で落ち込んでいた。
しかも、心当たりがあり過ぎて自分でも特定できないことに疲労感を覚える。
そんな時、いきなり何の前触れもなくアルフォンスが口を開いた。
「大佐、大事なものはちゃんと意思表示しないと。
誰かに持っていかれますよ？」
心の中に鋭く突き刺さる言葉に、動揺を隠せない。
「・・・・・何の事だか。」
「別に、僕に素直になれなんて言いませんけど。
あれでも兄さん、思い人には純情なんですよ。」
アルフォンスの“思い人”という言葉に胸が焦げ付く思いがして、底の方が酷く痛い。
こちらを窺いつつ話を進める、いつもと違うアルフォンスの話に言葉を返せないままでいると。
しばらく時間をおいたのち、アルフォンスが再び口を開いた。
「大佐も、案外奥手なんですか？」
ブ―――！！！！！
自分を落ち着かせる為、口に含んでいたコーヒーを、思いきり噴き出した。
それは、いつもとあまりにも人格の違う彼の発言の所為でもなく、自分の奥手具合を見透かされた所為でもなく。
この、ヤマシイ塊がエドに向けられているのだと、知らないフリを装っていたのに。
心のどこかでアルにも気付かれたかも知れないと感じたことを、堂々とを指摘されたから。
つまりは、単なる動揺。
「大丈夫ですか？」
その一瞬は、いつもの彼の様で。
副官も心配していたが、それよりも俺は、どう話をはぐらかすのかの模索をしていた。
「すまない、大丈夫だ。少し咳き込んでしまったようだ。」
「誤魔化すのも、下手ですね。大佐。」
ああ、策が見つからない。
彼のこととなると、どうして俺はこんなに不器用なのだろうか。
「ホント、兄さんのこととなると不器用ですよね。」
少し溜息交じりに言われたセリフに、俺はさっきの感が外れていなかったことを痛感した。
無言になる、俺。
「大尉、自分に正直に行動した方がいいと、僕は思いますよ。
相手のことを考えないのと、奥手になり過ぎて相手を見失うのと、意味は全く違いますが、相手を失うのは同じです。」
真剣な表情で、俺に対して言葉を重ねるアルフォンスに、やはり彼と兄弟なんだな、と感じた。
どこか彼に言われているようで、考えさせられる。
俺は、何を躊躇っていたのだろう
相手を思うと、奇麗事を並べて。
彼を、逃げの道具にするなんて。
「最低だな。」
一人呟き、俺は今までの気持ちを切り捨てる。
下らない遠慮など、今はいらない。
彼を思う気持ちは、変わらない。
彼に対する気遣いなど、やり方は他にあるんだ。
そう、俺らしい、やり方が。
俺は、いてもたってもいられず、アルフォンスに「行ってくるよ」と告げ、部屋を飛び出した。
エドがどこに行ったのか検討もなく、ただ部屋を飛び出した俺。
仕方がなく、闇雲でも探し出そうとしたその時。
人通りの少ない廊下の突き当たり。
微妙に開けられた扉の向こうに、誘われるように俺は足を進めた。
微かに、軋みを上げながら開けたその先に、彼は佇んでいた。
窓辺にそっと、こちらに背を向けたまま立っている。
俺が扉を開けたことに気がついていないのか、こちらを向く気配はない。
ゆっくりと自分に言い聞かせるように呼吸を整え、彼に近づく。
声をかけるタイミングを失ったのか、声が喉に張り付いて上手く出てこない。
何を言っていいのかも解らないまま、無言で近づく俺。
後数歩の距離まで近づいた時、彼が驚いたように身をすくませた。
怖がらせるつもりも、怯えさせるつもりもなかった。
ただ上手く言葉が見つからないまま、君に近づいた。ただそれだけ。
しかしどうやら、至近距離まで近づいた俺が、彼が眺めていた窓ガラスに映ったようだった。
エドは、ガラス越しに俺を見るだけで、こちらを振り返ろうとはしない。
怯えているのか、微かに震えている。
そっと窓ガラスに触れている指先は、震えを隠そうと必死に握り込まれたまま。
俺は、ゆっくりと深呼吸をし、意を決した。
「鋼の、話がある。」
「・・・・・・・・・。」
一世一代ともいえる言葉にも、彼の反応はただ一瞬身体を強張らせただけだった。
逆効果の結果に、打ちひしがれる余裕などなく、そのまま足を進め彼に近づく。
「・・・・・俺の話は、聞きたくないか。」
懇願するような苦しい響きが混じった発言にも、返事はなく。
もう一歩近づこうとしたその時、漸く彼は口を開いた。
「来ないで。聞きたくない。」
明らかな彼からの拒絶の言葉に、眩暈がするのを必死で堪えた。
少し、足元がおぼつかなくなった様に感じる。それ程の衝撃。
俺は、締め付けられるような痛みに耐え、その場にただ立ち尽くすことしか出来ない。
「・・・・・・エ・・ド・・・。」
か細く押し出された言葉は、彼の言葉によって遮られる。
「来るな。聞くことなんて、何もない。」
紡ぎ出された言葉に、息が詰まる思いがした。
動揺、困惑、後悔が押し寄せる。
しかし、その時彼の異変に気がついく。
エドの発した言葉の語尾が、少し掠れていた事。
「・・・・・エド。こっちを向いて。」
どうして君が泣いてしまう？
それは、他でもなく俺の所為なのか。
そんな疑問が頭をよぎり、心の底で誰かささやく。全て、お前の所為だと。
無駄に大きな石ころでも飲み込んだかのような異物感を胸に、それでも今は引き下がれない。
他でもない、貴方の涙がかかっているから。
手を伸ばし、エドの肩に触れた。
拒絶されても構わない。
「エド、こちを向くんだ。」
「放せよ･･･！・・・・・何も聞きたくない。」
駄々をこねる子供のように。
振り解きはしないものの、弱弱しく抗う。
「何があったんだ。話だけでも聞かせてくれ。」
「嫌だ。嫌だ。嫌だ。・・・・・オカシイのは解ってるから。
お願いだから、これ以上優しくしないで・・・・・・」
彼の必死の告白に、俺は、呆然とした。
彼のどこがオカシイのか。どうしたら、そんな結論に結びつくのかが、全く想像できない。
オカシイ、異常と言うなら、それは君ではなく、この俺の方だ。
君への執着という意味で。
「・・・・エド、何のことだ。お前を一度もおかしいとは思ったことはない。」
そうだ、おかしくなりそうなのも、俺だけなんだよ。
俺は、すでにおかしくなり始めた思考を横へ置き去りにして、エドの話にだけ心を傾ける。
決して、おかしくなんかない。
君は誰より可憐で、愛しい。
「嘘だ。」
心を見透かされたかのようなタイミングに、心の影が深まっていくようだ。
抉り出されて、エドを苦しめるだけの心なんて跡形もなく無くなればいいのに。
「嘘じゃない、オカシイと思ったことなんて無い。
オカシイのは、異常なのは、俺の方だよ。」
嘲りにも似た、捨て身の発言は彼の思いを和らげてはくれるだろうか。
弾かれた様に、今まで拒み続けていたエドがこちらを振り返った。
「･･違ッ・・・・・・ロイは･･･ロイは、おかしくなんて無い。
いつも優しさを貰って、それだけじゃ足りなくなって。
心の中がグルグル苦しくって、真っ黒になっていくのは・・・・・・・・・・俺っ・・・の所為なん・・だ」
涙交じりの告白。
思いもよらない衝撃よりも、今目の前で泣いている君に、動揺。
泣かせたくない、泣いて欲しくない。悲しい思いなど知らなくていい。
なのに、その感情の火種は全て俺。
無意識に俺は、唇を噛み締めていた。
今までに無い、後悔に。
うじうじと卑怯だった、自分自身に、嫌悪を。
「こんな自分要らない。」
殆ど泣き出してしまった、エドは吐き捨てるように呟く。
「こんな、こんな嫌な自分要らない。・・・・・・迷惑なんてかけたくｎ・・・・・・・・」
「なら俺に頂戴。エドの全部、一つ残らず、全て。」
ハッキリと、彼の目を見つめて返す俺に、エドの目が大粒の涙を抱えたまま見開かれる。
頬に、涙が流れた。
「・・・・・・・・ロイ・・・・・。」
「欲しいんだ、凄く。今までずっと自分の感情を押し殺してきた。
いけないと思ってた、今のエドのように。
だけど、失いたくない。その苦しい思いごと全て俺が引き受けるから。」
心からの告白に、自分自身の余分な力が抜けていくようだった。
色んな感情を無理に押さえ込む必要など無いことに、今更ながらに気がついたのだ。二人で。
飾ることも、構えることもせず、ただ俺はエドに微笑んだ。
今、彼の心が漸く届いたような気がして、とても幸せな気持ちに包まれている。
「・・・・・・・・・・・うん。」
遅すぎたかもしれないけれど、微笑む俺に対して
頷いた後バツが悪そうに、少し不貞腐れた笑顔を寄越す君を見て、ハッキリと気がつく。
上手くなんか無いけれど、君ならば俺自身を受け入れてくれるのだと。
だから、俺は、君の全てを貰おう。
「エド、ずっと言おうと思ってたんだ。だけど、負担になるんじゃないかと恐れてた。
でも、もう迷わない。もう、離さない。」
「・・・・・・・・・うん。」
「・・・・・愛してるよ、エド。」
「・・・・・俺も。ロイを愛してるよ。」
腕の中、微笑む君がいてくれる事に感謝。
ゆっくりと、腕に力を込め自分へと引き寄せ、そっと優しく唇を奪った。
ロイの顔が離れ、幸せな時間はこれで終わりかと、少し残念に思った時。
「・・・そういえば、さっき全部俺にくれるって言ってたよ、ネ。エド。」
「・・・・・・・・・・えっ！！？」
ロイ、満面の笑み。
俺、硬直。
本領発揮。
エドと想いが通じていたことが解れば、ここからは遠慮なんていらない。
まさにそんな風に、不敵に微笑むロイを俺は止められない。
言葉も無いのに、圧迫感と、艶かしいオーラが見えるようだ。
「さ、まだ時間はあるね。早速、頂きたいね。」
「いやぁ･････ロ、ロイ？････俺まだ心の準備が････････････うわッ！！」
本気で襲われると思い、必死で逃げた結果、机の角にぶつかり転倒。
結構な衝撃の中、微かに笑い声が聞こえる。
「･････っはっはっはっ・・・・・・・・・・・ッははは、エド、最高。」
今までの俺様的、艶かしい夜の帝王モードは、ただ単に俺をおちょくってただけなことに気がつく。
こうして、気がつかされると、踊らされていた自分が恥ずかしいを通り越して情けない。
そして、ロイの笑顔が、少し憎らしい。
「笑うなっ！！」
顔面を真っ赤にしているだろう俺は、心のやり場をロイにぶつける。
「ははは。・・・・・・・・じゃぁあ、エドが変わりに、笑顔で俺のそばにいて。」
優しくいつもより甘く、こんなに愛されていたのかと納得してしまうほど、甘く。
笑顔で、ロイはそう囁いた。
何も言わず、頷く俺にロイの笑顔が近寄った。
心ごと、一瞬で唇を奪われた。
それは、とても溶けてしまいそうなほど、優しいキスだった。
どうも、いかがだったでしょうか？（笑）
まず、はじめに言いたいこと。
それは、長ッ！！！！
当初の予定をはるかに超え、結構な量ですよ、これ。
てな感じになりました。
何となく、まとまりが上手くつかずこんな感じに。
とりあえず、ロイが動いてくれたのは最初と最後のみ。
特に夜の帝王並みの、最後。
しかも、都合で最後は殆どなしで。。。。
本当に、手を焼かされました（笑）
これも、愛故なのでしょうか。
ということで、楽しんで頂ければ幸いです。
では、では。