『桜ドロップス』







疲れた時に、貴方が欲しい。


寂しい時に、貴方が欲しい。


四六時中、貴方が欲しい。





貴方が、僕の知らない誰かと出かけた夜。
僕は、暗い部屋の中。
貴方の帰りだけを待ちわびて。

寂しい一人寝をしました。



机の上は、貴方の為の食事に彩られて。
箸一つ付けれないまま、僕は貴方を。
その帰りを、足音を聞き逃さないように耳を澄ませて。




いつの間にか記憶が薄れ。
夢を見ていた合間に、朝日は上がっていました。


冷め切った口にもできなかった食事を、捨てなくてはと立ち上がった時。

さっきの自分と全く同じ体制で、貴方が隣で眠っていました。




僕が眠っていたその直ぐ隣には、二粒の飴玉。

貴方の髪色にキラキラと耀く飴が、皿に乗っていました。



嬉しさに涙がこぼれた時、貴方は起きて。

寝ぼけたまま綺麗に笑って、こう言いました。


「八戒、一緒に食べよっか。」




ただそれだけの事なのに。
心に温かいものが浸透していって。
身動きの取れない不確かな重々しさは、跡形も無く消えました。



貴方の笑顔が、僕のほころびを誘う。






遅めの朝食のあと。




二人で食べた桜色のドロップは、記憶よりも甘くて懐かしい味がした。















いかがだったでしょうか。
基本的に、亜惣作ハッチはこういったことは気にしないのではないかと
思っている節があるんですが。
たまには、こんな最初から不安だらけで弱い別視点の(?)ハッチもいいかと。
いつもは、不敵な笑みで。
溜まりに溜まって、誤解を。。。ってな感じで、最終的には
最強腹黒光臨、のような感じかと(笑)

今回は、ハッチの日記調なのでそんなに長くは無いですが、
その中にある依存度や温かさを感じて頂ければ幸いです。

それでは。


 2008・02・11